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2021年03月18日

GNSS 初心者向け

GNSS信号レベル確認のススメ

こんにちは、イネーブラーのGNSS事業部の佐藤真木です。

多くのGNSS製品の導入をしているイネーブラーですが、お客様との実験やサポート業務のなかで、GNSS信号のレベルが弱く電波干渉が疑われるケースがあります。本来であれば、GNSS信号の品質解析や電波調査などを実施して、トラブルシュートしていくのですが、今回は一般のGNSS受信機を利用した簡易的なGNSS信号レベルの確認方法をご紹介します。

✅ 本記事を読む読者層
  • ・はじめてGNSS技術の担当になったエンジニア
  • ・GNSSの勉強を始めた学生

✅ 忙しい人のために3行で説明
  • ・NMEAセンテンスのGSVまたは、専用ソフトの信号バーでGPSL1のCNR値を確認する。
  • ・理論環境において、GPSL1は地上でCNRが45.5dB/Hzとなる。
  • ・仰角60度以上の衛星のGPSL1のCNRが45.5dB/Hz以上であることを目安とする(弊社ルール)

そもそもNMEAセンテンスのGSVって?

NMEAとは、GNSS受信機の出力結果の標準フォーマットに相当し、シリアル通信・アスキー形式で、位置情報・時刻情報などが格納されています。下記のようなイメージです。



このうち、GSVセンテンスには、見えている衛星の衛星番号、仰角、方位角、L1のCNR(≒SNR)値が含まれており、GNSS受信機の測定環境における信号の良否の簡易的なチェックに利用できます。多くのGNSS受信機では、このCNR(またはSNR)を棒グラフ等で表示する機能があるので、それを利用する方が直観的です。通常は縦軸がCNR(またはSNR)で横方向は衛星番号を示しています。以下は、左:U-blox社U-centr、右:セプテントリオ社 Rx-controlというGNSS受信機の設定ソフトウェアの画面です。




典型的なGPS信号のCNR値はどれくらいか?

あくまで、理想環境・理論値であることを前提にいうと、典型的なGPSL1のCNR値は、地上において「45.5dB/Hz付近」といえます(参照:Measureing GNSS signal strength , Angelo Joseph Nov. 2010  Inside GNSS)。 厳密には、信号の品質を測る指標として、CNRのほかにSNR(signal /ratio)があり、使い分ける必要があるのですが、初心者向けの本記事では両者は「ほぼイコール」であるとします。


現場でオススメしている簡易的な目安

実際には自然界の雑音や反射波等の影響で、すべてのGPS信号が45.5dB/Hzで地上に到達するということはありません。そこで20年以上、GNSS関連の業務にかかわってきた弊社の古参エンジニアの言葉を借りると、「仰角60度以上のGPSL1のCNRが45以上であれば良好。そうでないならば、信号の受信環境の不良を疑う。」が簡易的な目安になります。各衛星の仰角情報はGSVで取得できますが、こちらもGNSS受信機のスカイプロット(天空図)という機能で視覚的に表示できることが多いです。例えば、セプテントリオ社の設定ソフトのスカイプロットは、下記のようになります。



この図は、外側の円が仰角0°、その1つ内側の円が30°、もう1つ内側が60°、中心が90°の天空の状況を示しており、受信場所で見えている衛星を投影しています。下記は簡略化したスカイプロットのイメージです。



このスカイプロットの場合、G02番(GPS2番)とG03番が仰角60度以上に位置しているので、これらのCNRが45dB/Hz以上であるかどうかを先ほどの信号バーなどで、確認するとよいでしょう。逆にこれら仰角60°以上のGPSL1のCNRが40dB/Hzにも届いていない場合は、信号の受信環境が悪い、ケーブルラインに不良がある等が疑われます。

注意事項としては、あくまでGPSのL1に限った目安にとどまるという点です。GLONASSなどのその他の衛星システムのL1信号がGPSL1と同じ信号レベルになるというわけではなく、「GLONASSのL1は、GPSL1よりCNRがやや弱くなる。」、「GALILEOのE1は、GPSのL1と同等かやや強い。」といった具合で若干の差が存在します。GPSのL1信号レベルとその他の信号の電力差については、下記の資料が参考になります。



各衛星の設計仕様は「月進年歩」で変更されるので、その点はご承知おきください。


まとめ

本記事では、NMEAのGSV等を目安にした簡易的なGNSS信号の確認方法についてご紹介しました。今回紹介した目安を控えておくと、GNSS受信機をつかった実験、案件等で受信環境の良否を考察する助けになり、時間の節約ができるはずです。本格的に受信環境の良否を判定したい場合には、冒頭で述べたように専用のツールや計測技術で切り分けしていくかたちになります。

佐藤

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