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iPNTとは indoor Position Navigation Timing

「IMES」から「iPNT」へ

IMESは、屋内GPSとして屋内外シームレスな位置情報の提供を実現しました。
IoTや5G通信などの技術革新に伴い、位置情報だけでなく高精度な時刻情報および時刻同期に対するニーズが急速に高まっています。

私たちは、このニーズにこたえるために、長年の研究の結果、
2018年、IMESに高精度な時刻同期機能を追加したiPNTの開発に成功しました(関連特許出願中)。

屋内に、高精度な時刻同期を提供する同等な技術として、IEEE1588 PTP(Precision Time Protocol)があります。
PTPは、LANなどで広く普及したイーサネットケーブルを伝送路とし、時刻パケットを用いて1マイクロ秒以内の同期精度を実現しています。
ただし、LAN網内の輻輳によりパケット遅延揺らぎやパケットロスが影響し、安定的な同期精度の供給が難しいという問題がありました。
また、パケット交換にて遅延量補正を行うため、GMCと呼ばれるマスター装置に対して、接続可能なPTP装置は限定的になります。遅延量が激しく変化するWAN環境下への展開できないなど複数の課題を抱えております。
iPNTは、このような外的要因による精度劣化を軽減し、安定的な時刻および同期信号を配信することが可能です。

IMESの発案に至る経緯

IMES(Indoor MEssaging System)は、屋内外のシームレス測位を可能にするシステムで、準天頂衛星初号機「みちびき」を開発する過程で、測位衛星技術株式会社とJAXAが発案した日本独自の技術です。
準天頂衛星は、GPSの補完・補強が目的ですが、ビルや地下街などの屋内での位置測位を補うものではありません。
IMESは、GPS/QZSS電波を受信できない屋内における地上補完システムとして、準天頂衛星システムユーザインタフェース仕様書(IS-QZSS)にて、提案されました。
IMESは、GPS/QZSS測位信号と同一のRF特性を持つ電波を利用し、相互運用性を確保しています。これは、ハードウェアレベルにおいては既存のGPS/QZSS受信機をそのまま使えることを意味しています。

IMESの発案に至る経緯

開発経緯

1996年 屋内測位技術スードライト研究開発開始
2001年 1chスードライト開発
2002年 4ch時刻同期用GPS信号発生器開発 携帯キャリア向け(全国地下鉄に配備2011まで運用)
2007年 IMES試作器開発 以後 4世代の開発で改良、性能向上を図る
2013年 IMES LSIチップ完成

IMESの特徴

IMESは発案当初からメインターゲットを歩行者とし、スマートフォンを代表とする携帯電話への普及を考慮がされており、さまざまな工夫が組み込まれています。

主な特徴

測距しない

ユーザーに対して位置情報をメッセージとして直接伝達するので、送信機/受信機間の測距を行いません。

微弱電波

微弱電波の為、日本国電波法において免許を要しない無線局です。

厳格な運用規程

IMES送信機はJAXAにより運用管理規程が定義されています。

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測距しない

通常GPSでは、4台以上の送信機(GPS衛星)からの距離を計測することにより自己位置を知ります。
当初日本国内では、屋内に擬似的な衛星(スードライト)を設置し、屋内位置測位を行う研究が進められていましたが、下記の問題により安定した位置計測を行うことができませんでした。

  • 屋内では壁・天井などの電波の反射が多くマルチパスや減衰の影響により、安定した測距が難しい
  • 各送信機間において高精度な時刻同期が必要なため、送信機コストが高くなる
  • 測位地点において複数の送信機からの受信が必要なため、多数の送信機が必要となる

IMESはこのような経験から、測距を行わず、送信機からそのまま位置情報をメッセージとして送信する方法を採用しました。シンプルな解決法ですがこれにより下記のようなメリットが得られます。

  • 送信機間の時刻同期が不要なので送信機のコストが抑えられる
  • 1台の送信機のみで位置の解決が行える
  • 測距を行わないので、マルチパスの影響が少ない

さらにIMESでは、メッセージの中に階数及びショートID、ミディアムIDと呼ばれるID情報を埋め込むことにより、屋内環境においてより有益な情報を提供することができます。

微弱電波

IMESは送信機端において、最大送信出力は、等価等方輻射電力(EIRP)が94.35[dBW]以下に定義されています。
これは送信機の3mの距離における電界強度が35μV/m以下となるため電波法第4条第1項に該当せず、IMESは「免許を要しない無線局」となります。
さらにIMESでは、メッセージの中に階数及びショートID、ミディアムIDと呼ばれるID情報を埋め込むことにより、屋内環境においてより有益な情報を提供することができます。

※IMES送信機は、GPS・QZSSからの測位信号およびIMES送信機同士の干渉を防ぐため、また目的外の使用を防ぐために「地上補完システム(IMES)送信機利用約款」を遵守する必要があります。

厳格な運用規程

IMESは米国からPRNコードを割り当てられたという経緯もあり、開発当初から厳格な運用規定が検討・整備されてきました。
これは、IMESからの信号は、保証された情報であるとも言え、他の位置測位技術と異なる大きな特徴となります。
IMES送信機設置にはTAIMSへの登録が必要となりますが、この時に希望すれば国土地理院の場所情報コードサーバに登録することができます。つまりIMESは電子基準点や三角点のような基準点体系を補完する屋内位置情報基盤として利用することが可能であることを意味しています。

iPNTとは

IMESは、GNSS信号として位置情報、メッセージ情報(ショートID,ミディアムID)を送信しますが、iPNTでは、位置情報に加えて時刻情報、防災情報、拡張メッセージなど、提供できる情報内容が拡大しています。
特に時刻情報のフレームは、定期的に繰り返し送信され、GNSS受信機がその先頭ビットを読み取ることで高精度に時刻同期できることが大きな特徴です。

私たちは、このiPNT時刻情報をリアルタイムに上空のGNSS信号の時刻と同期される技術の開発に成功し、屋内でも1マイクロ秒以下の時刻同期精度が得られるGNSS信号送信機の製品化に取り組んでいます。

IMESの送信信号仕様は、JAXA発行のIS-IMESに規定されていましたが、iPNTの送信信号仕様は、IS-iPNTとして一般社団法人屋内情報サービス協会によって策定されています。